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ごのページは弊社の一担当者が仕事の傍ら、いろいろと思いついたことを思いつくまま書いた日記帳のようなものです。
2006年09月15日(金) ワレリー・ゲルギエフ指揮 ウィーンフィルハーモニー管弦楽団演奏会
ゲルギエフによるショスタコービッチの交響曲全曲演奏シリーズの一環として、ロンドンのバービカンホールで行われた演奏会。
曲目は
シューマン スケルツオとフィナーレ序曲 作品52
ショスタコービッチ 交響曲第9番 変ホ長調 作品70
ブラームス 交響曲第4番 ホ短調 作品98

同じゲルギエフ指揮といっても前回のロンドン交響楽団の演奏会とは異なり、ホールは音響の良いバービカン、ウィーンフィルということで大いに期待した演奏会でしたが、結果はそれをはるかに超えたすばらしいものでした。
ウィーンフィルという道具の切れの良さ、反応の鋭さ、場面転換の上手さが、ゲルギエフの繊細な指示に完全に呼応しており、さらに、ウィーンフィルはその意図を理解するばかりではなく、「ゲルギエフさん、あなたの言いたいことはこういったことですよね。」と逆に提案をしているかのようです。つい、ゲルギエフの指揮を見ると、細かく痙攣するように動く左右の手のひらに目が行き勝ちですが、振り下ろし時に拍があるダイナミックな指揮方と細かい支持を次々と繰り出す細やかさが豪快にバランスが取れているところに持ち味があるような気がします。ただ、カラヤンの様な振り下ろしではなく、あくまで演奏の表情を強調する一つの手段として使われているようです。
ブラームスの弦楽器のみの箇所などはウィーンフィルも充分に鳴り響き、途中いくつか爆発の瞬間があったようですが、演奏は全く満足させられるものでした。クラリネットのペーター・シュミードル、フルートのディーター・フルーリーと役者も好調でした。コンサートマスターはウェルナー・ヒンク氏。
2006年09月3日(日) クリストフ・エッシェンバッハ指揮 フィラデルフィア管弦楽団演奏会
今年のプロムスの目玉、エッシェンバッハ指揮フィラデルフィア管弦楽団によるベートーベンの交響曲第9番「合唱」。
しかし、ロイヤルアルバートホールの演奏者用バーからの出火により演奏会がキャンセル。

いったいなんなの。これ。
2006年08月18日(金) ワレリー・ゲルギエフ指揮 ロンドン交響楽団演奏会
ワレリー・ゲルギエフは2007年1月からロンドン交響楽団の主席指揮者に就任が決まっています。ロンドンを拠点にするオーケストラとしては久々の大物の常任級の指揮者で、ロンドンフィルのショルティ以来ではなかろうかと思います。ロンドン交響楽団としてはさかのぼればアバド以来かもしれません。
ロイヤルアルバートホール 内景
曲目は
1.ショスタコービッチ 黄金時代 抜粋
2.シュニトケ ビオラ協奏曲 (ユーリ・バシュメット ビオラ)
3.チャイコフスキー 交響曲第6番 悲愴
とロシアもので固めています。なんといってもシュニトケのビオラ協奏曲という本当に演奏機会の無い曲目で、この曲を献呈されたバシュメット自身のソロというレアな演奏は注目でした。ピアノ、チェンバロ、オルガン、ハープを通常第1バイオリンの位置に置き、見た目も変則的な演奏方法で、全体を通じて暗く、沈痛な雰囲気が漂う中バシュメットの伸びのある音色はシュニトケの諦観を良く現していたといえます。

ロンドン交響楽団の玄人好みの音色は少なくともここ10年はそれほど変化していないようです。長らくコリン・デービスというイマイチの指揮者の下で演奏していたということを考慮しても、変化自体を望むことはこの楽団には無理であったかのようです。同じロンドン拠点のフィルハーモニアのような華やかさもなく、ロンドンフィルのような(稀だが)ここぞという時の爆発力があるわけでもなく、いつも結局は「上手い」という印象しか残らない気がします。この夜の演奏会も、ゲルギエフによる何がしかの変化を期待したのですが、それほどでもなかったというのが正直なところです。
ただ、音楽の作り方はかなりしっかりしたもので、自由自在に演奏の色彩を変えようとする指揮者に完全とはいかないまでもかなり応えていたことは確かです。来年以降の変化に期待したいところです。MIYA ICHINOSEという日本人の団員(バイオリン)が加わっていました。
2006年07月18日(火) プムロス音楽祭を日本で聴く方法

7月14日から9月9日まで、ロンドンのロイヤルアルバートホールで、プロムス音楽祭が行われています。
また、その模様は連日BBCのWEBラジオにより生中継されます。
この音楽祭を日本で聴く方法は、 まず、BBC プムロスのホームページにアクセスします。
http://www.bbc.co.uk/proms/listen//
リアルプレイヤーを、お持ちで無い方は、 Internet Audio help (上記アドレスのページの右の欄) をアクセスして
ダウンロードしてください。
あとは簡単、 Listen again to the BBC Proms をアクセスし、聴きたいプログラムをクリックするだけ。
プログラムの内容は、what's on でお調べください。
もちろんリアルタイムで演奏を聴くこともできますが、
演奏の模様は、演奏後7日間は、オンデマンドでのプレイバックで聴くこともできますので、
好きな時間に、ロンドンからの音楽をお楽しみください。 お知らせまで。
 
2006年06月30日(土) Wool fest in 湖水地方

シェトランドの羊  シェトランドの羊

6月30日に、イギリスの湖水地方にあるコッカーマスという場所で、ウールフェストがあったので行ってきました。
上の写真は、シェトランドの羊です。 左が、毛を刈られる前、右が、毛を刈られた後です。
カメラを向けると、動かずにこちらを見てくれたので、記念に一枚、撮りました。

  

さてさて、このウールフェストには、イギリスのいろんな場所から、毛糸やさんが集まりました。
もちろん、ジェミーソン&スミスも店を出していました。 シェトランドから、湖水地方までは、遠い道のりで、
まず、エジンバラで、一泊して、それから湖水地方にやってきたそうです。片道2日かかるのですね。
上の写真は、店の様子と、展示していた、レースの写真です。
写真は、取らなかったのですが、左の写真の奥に、ナチュラルの毛糸で編まれた、ひざ掛けも素敵でしたので、
今年から、ナチュラルの毛糸(shetland 2000)も取り扱うことにしました。 
サンプルができましたら、ご連絡させていただきます。

いろんな糸があってとても楽しい一日でした。中でも、HEMPという麻の一種で作られた糸は、とても、色鮮やかに染められて、
また、軽さ、肌触りがとてもよく、サマーセーターに向いている糸です。 日本の皆さんに紹介したいと思ったのですが、
残念なことに、ここの店は、すべての工程を自分たちでしていて、糸を輸出するほどの量を生産することができないそうです。
また、次の機会に、いい糸を捜したいと思います。

  

最後に、湖水地方の景色をお楽しみください。


2005年9月7日(水) プロムス音楽祭 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団演奏会

今年のプロムス音楽祭も終わりに近くなり、最大のイベントといえるウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏会となりました。
といっても、別に私はコンサートに出かけたわけではなく、テレビで生中継を鑑賞しただけでということです。

今年は、プロムスに行くお金を地上波デジタル放送受信機購入に当て、BBC(日本のNHKみたいなもの。年間受信料が2万円5千円程度と高額。不払いをすると法廷で裁かれるので、私は率先して払っています。)の4チャンネルで多く中継されるプロムスを見るというのが計画でした。なお、裏番組(というか、一般的にはプロムスが裏番組ですが)ではワールドカップ予選でイングランドが北アイルランドに負けて、大騒ぎとなっていました。エリクソン監督への批判が集中しているようです。

曲目は以下の通りです。
1.ハイドン 交響曲第103番 「太鼓連打」
2.ベルク 歌劇「ヴォツェック」から
<休憩>
3.ストラヴィンスキー 「春の祭典」
カタリーナ・ダライマン (ソプラノ)
ズービン・メータ指揮

ダライマンの太く豊かな歌声、ストラヴィンスキーでのウィーンフィルの職人技等素晴らしい演奏会であったとは思いますが、
ちょっと、メータが疲れ気味のように感じたのは、メータが年を取ったせいなのか、強行スケジュールのせいなのか、少し気にかかりましたが...
あと、木管セクションの内、オーボエ、クラリネット、バスーンの2番奏者が女性でした。ウィーンフィルでの女性進出も本格化しているようです。
「特にクラリネットの女性は美形で、きっと団員の男達の間で奪い合いとなっているに違いない。でも、恋に敗れ去った男は、たとえウィーンフィルと言えども退団するのであろうか?もったいない。」などど妄想を抱きながら見るところが、テレビ鑑賞ならではと言えます。

とは言え、結局は財布の都合で演奏会に出かけられなかった悔しさから、インターバル(休憩時間)でのBBCの時間潰しが見ものでした。

通常、ウィーンフィルのニューイヤーコンサートの放送(後半しか放送しないNHK総合テレビではなく、前半から放送している衛星放送の方)がそうであるように20分ものインターバルは、どのように間を持たせるかに四苦八苦するようで、例えば、そのNHK衛星放送では、女性アナウンサーとゲストとのいかにも時間潰し的なやり取りが行われたりします。

天下のBBC、見せてくれました。
あろうことか、熱演を終えたばかりのメータとダライマンを舞台からはかなり距離の離れた特設スタジオに呼んで、インタビューを始めるではありませんか。よく、前半に演奏を終えたソリストを呼んでインタビューというのはありますが、後半も指揮を振る大スター、ズービン・メータを招くあたりBBCならではといえます。といって、特に聞く話があるわけではなく、視聴者からのメール、FAXでの質問に答えるというなんとも必要性に乏しいものでした。

BBCはそれでは収まらず、一般客が後ろで酒を片手に談笑しているバーにトロンボーン主席のイアン・バウスフィールド、クラリネット主席のペーター・シュミードルを呼んで、「プロムス・クイズ!」を行うというなんとも豪快な企画を実行に移しました。

ルールは一分間でどれだけの質問に答えられるかという質問で、回答中には効果音でよく日本のクイズ番組でもある「チック・タック、チック・タック、チック・タック、...」が流れるという手の入れようでした。
といっても、質問は「ハイドンの交響曲第45番は何と呼ばれていますか?」という、これもほとんど意味不明の問題が続き、
結果は、イアンが6問正解、なぜか、異様に上機嫌のペーターはわずか1問正解(ぺーターの方が難しい質問ではあったが)でした。

ペーターへの質問で、「ウィーンのオペラ座の正面にある、チョコレートケーキで有名なホテルの名前は?」 にペーターが答えられなかったのは、きっと日本人には超有名なザッハートルテは、ウィーン人にはそれほど馴染みがあるわけではなく、観光客向けの商品ということなのかも知れません。

明日もウィーンフィルの演奏会は続き、クリストフ・エッシェンバッハを指揮者に迎えて、ブルックナー交響曲第8番の演奏です。但し、インターバル無し。

先日は、19時30分から始まったプロムス生中継放送で、演奏開始前に曲の解説をするためのゲストの到着が遅れたようで、放送の冒頭部分を3回やり直した(プロムスの短いオープニングテーマが流れ、前振りをアナウンサーが行い、インタビューが始まったところで、「故障中ですのでしばらくお待ちください」というテロップに変わる。というのを3回繰り返した。)という離れ業をやったばかり。

BBCもプロムス・ラストナイトコンサート(今週土曜日、9月11日)に向けてエンジンがかかってきたようです。

2005年2月7日(月) ライナー・キュッヒル(バイオリン)リサイタル

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のコンサートマスター、ライナー・キュッヒル氏のリサイタルということで、客席の少ないヴィグモアホールではさぞかし超満員であろうと思い気合を入れて前売り券を購入して望んだが、意外に入りは70%程度でした。
シーズン前のコンサート日程にはこのコンサートが織り込まれていなかったための宣伝不足なのか、月曜日のためなのか、それともキュッヒル氏のソリストとしての知名度がもう一つなのかはよく分かりませんが、珍しく日本人の観客が私以外一人もいなかったので、宣伝不足の面が強かったのではと個人的には思いました。
ヴィグモアホール ウィグモアホール正面玄関付近

曲目は以下の通りです。
1.メンデルスゾーン バイオリンソナタ ヘ短調 作品4
2.ドヴォルザーク ロマンス ヘ短調 作品11
3.プーランク バイオリンソナタ
<休憩>
4.プロコフィエフ バイオリンソナタ 第2番 ニ長調 作品94
5.ベートーベン バイオリンソナタ 第10番 ト長調 作品96番

ピアノはGottlieb Wallisch氏。

前半はなんとなく協奏曲のようにバリバリと弾くキュッヒル氏と狭いホールの音量、音響のバランスにこちらも戸惑っていましたが、プーランクになってようやく空間と演奏が溶け合ってきました。キュッヒルの演奏もさることながらピアノのWallischのコンビの息が大変に素晴らしく、ピアノも伴奏にとどまらずに大変に活躍する同曲では、二人の緊張ある演奏に引き込まれる演奏でした。

後半が始まるとバイオリンの鳴り方もかなり落ち着いてきて、前半とは違いこちらもじっくりと聞く事ができました。プロコフィエフはプーランクと同時代の作曲家でありますが、ロシア風の独特なメロディにより重厚な音色を必要とされますが、キュッヒルの演奏はその要求に十分に応えており曲の魅力を堪能することができました。
最後のベートーベンまで来ると、やはりキュッヒル氏の最も得意とする曲はやはりベートーベンなのであろうという印象を持つに十分な内容でした。ウィーンの風景そのままを思い浮かべるような叙情的な曲想をウィーンから直接お届けします!といった感じでこの曲のもつ魅力を正面から性格に表現していました。

全体といして、キュッヒル氏の演奏は大変に分かりやすいものでした。何か「この曲のポイントはここで、このように私は弾いていますよ!」と会話をしながら語りかけてくるような不思議な面があります。これは彼のコンサートマスターとしての経歴からくるものなのか、オーストリアのソリストとしての風土からくるものなのか分かりませんが、曲そのものよりも演奏者のテクニック、音色といった個性そのものに焦点が当てられがちな昨今の室内楽演奏会の中で、なにかほっとするもを感じました。ひょっとしたら、観客の入りがもう一つだったのは、こういった古風なソリストが流行らないのが原因かも知れない?と思いながらヴィグモアホールを後にしました。


2005年1月14日(金) レオニダス・カヴァコス(バイオリン)リサイタル

ロンドンの繁華街のはずれにあるヴィグモアホールで行わ れたレオニダス・カヴァコスのバイオリンリサイタルに行ってきました。
カヴ ァコスは、世界中で演奏活動を行っており、現在人気のあるバイオリニストの 一人です。
N響とも共演したことがあり、日本各地でも演奏会を行っているよ うなので、ご存知の方も多いのではないでしょうか?
1985年のシベリウス 国際バイオリンコンクール、1988年のパガニーニコンクールで優勝してい ます。

曲目は以下の通りです。
1.バッハ バイオリンソナタ第3番
2.シューマン バイオリンソナタ第1番
<休憩>
3.バルトーク 狂詩曲第1番
4.エネスク バイオリンソナタ第3番「ルーマニアの民族風で」

「悪魔のバイオリン」と日本では紹介されたこともありますが、民族的音楽を ふんだんに取り入れた曲を後半に持ってくることで、カヴァコスが持つ情熱を 十分に出し切ろうとする意気込みが感じられるプログラムです。

最初のバッハでは、カヴァコスの独特の太い厚みのある音質で、忠実に演奏し ようとする姿勢が良く感じられましたが、メニューインやハイフェッツといっ た過去の巨匠のLPから感じられるような神聖さや神々しさといったものは異 なるもので、個人的にはもう一つという印象を持ちました。

シューマンになると、一転、この曲がもつなんとも憂鬱で深い感情をえぐりだ すようなカヴァコスのエネルギッシュな演奏で聴衆を圧倒することになりまし た。
決して大げさな演奏スタイルでもなく、事実演奏している姿は真摯そのも のなのですが、「悪魔のバイオリン」と比喩されたことが理解できるような気 がしました。

後半の2曲では、完全にホール全体の聴衆がカヴァコスの繰り出す音楽、リズ ム、テクニックにコントロールされてしまったかのような、まさしく独壇場 (もちろん、ソロですので、そうなのですが。)となりました。
他の演奏者が演奏すればきっと全く異なるものになるとは思われますが、 きっとカヴァコスの後では物足りないものになるのに違いないと信じさせられ るような演奏でした。

演奏会が終わったときはすっかりとカヴァコスの「悪魔」ぶりに納得させられ てしまいました。
今後、彼がどのような方向性を持って進んでいくのか注目し たいところです。

2004年11月30日(月) Knitting & Stiching Show in Harrogate

イギリスの北部、ヨークシャー州にあるハロゲイトという街で、ニッティング & スティッチング ショーが、
11月25日〜28日まで行われていたので、週末、行ってきました。

ハロゲイトは、温泉で有名な保養地で、Turkish Bath(トルコ風呂)があります。 アンティークショップがたくさんあり、
散歩をしながら目の保養をするのにぴったりです。 
紅茶の好きな方には、テーラーズ オブ ハロゲート社の素敵なティールームがあるので、一度、行かれるのをおすすめします 。

さてさて、今回訪れた、このショーは、刺繍(クロスステッチ・ゴールドワーク・日本刺繍など)と編み物好きな人には、
見逃せないものだと思います。 また、当社が、取引している毛糸メーカーも、店を出していました。 
フェアアイル模様の新作が、いくつか展示されていて、本場、シェトランド島のセーター、ベストの美しさを堪能しました。 

お店の方に、「フェアアイルの編み物の短期の講習会は、シェトランドでありませんか?」 と、たずねたところ、
「夏にシェトランド・カレッジであるかもしれないから、聞いてみて」と、担当の方を教えてもらったので、今度、問い合わせてみようと思います。

(写真をクリックしてみてください)
ハロゲイト ニッティングショー

個人的に私が購入したものは、
伝統的なフェアアイル模様の歴史、技術、色の組み合わせの本 と イギリスの伝統のゴールドワークのキットです。
興味のある方は、inquiry02@eurojapantrading.com まで、お問い合わせください。
また、ゴールドワークのキット作者のホームページは、www.goldworkembroidery.com です。

フェアアイル書籍ゴールドワーク

2004年8月30日(月) プロムス音楽祭 オスロ・フィルハーモニー管弦楽団演奏会
2002年から音楽監督を務めるアンドレ・プレヴィンに率いられたオスロフィルの演奏会。曲目は以下の通り。

ドビュッシー 牧神の午後への前奏曲
アンドレ・プレヴィン バイオリン協奏曲「アンネ=ゾフィー」  バイオリン アンネ=ゾフィー・ムター
プロコフィエフ 交響曲第5番 変ロ長調 作品100

オスロフィルの響きは特に木管セクションを中心に大変に透明感があり美しい。
「牧神の午後」はその魅力を存分に引き出しことに成功していた。音響が劣悪なロイヤル・アルバート・ホールではあるが、このオーケストラ独特の曇りのない響きを感じることができた。

アンネ=ゾフィー・ムターが弾く自分の名前を冠したバイオリン協奏曲、指揮は夫のプレヴィンという全てが揃った演奏であった。
個人的には曲の構成がもう一つはっきりと見えず、集中して耳を傾けることができなかった。

プロコフィエフの演奏も含め、むしろ、指揮者プレヴィンとしての真価が発揮された演奏会であったような気がする。指揮ぶりは大げさではなく淡々としたものであるが、プレヴィンの棒からはテンポの良い音楽が生まれ、オスロフィルの反応も良く、たいへんバランスの良い組み合わせのように思える。

ただ、 1929年生まれのプレヴィンも76歳の高齢となり、指揮台までの足取りもよぼよぼとしたものであった。
Royal Albert Hall
ロイヤル・アルバート・ホール 正面景
2004年7月24日(土) NHKのど自慢・イン・ロンドン
「NHKのど自慢」がロンドンまでやって来た。

日本ではもちろん「のど自慢」の公開放送行ったことは一度も無いが、もの珍しさもあり、また、ゲストの森進一、小林幸子を見てみたくて行ってみた。

日本の土曜夜7時30分からの生中継に合わせての開始なので、ロンドン時間で朝11時30分スタートだが、会場は9時30分。
誰もこんな早くから来る人はいないだろうと思いながら9時30分過ぎに会場のアレクサンドラ・パレス(ロンドン北東部)に着くと、なんと日本人の長蛇の列ができていた。

こんなにたくさんの日本人を一度に見ることも珍しいが、なんとなくこちらも楽しくなってくる。
会場内では簡単な日本食の販売もあり、結構開演前から一人で盛り上がる。

11時頃から「のど自慢実行委員会」なるものの偉い方々の苦労話に続き、宮川泰夫アナウンサーが登場して、「拍手」、「笑顔」といった注意事項を承ることになる。私の気持ちはただ一つ。「森進一はまだか。」

と言っているうちに、11時30分の放送開始のカウントダウンが始まる。会場には4、000人もの観客がいるので私が写る可能性はないのだが、日本への衛星生放送ということでドキドキしてくる。

出演者25組と森進一、小林幸子が登場して会場は興奮状態になる。小林幸子は結構背が高い。森進一は結構年を取ってしまっている。

生放送75分ということで、急ピッチで次々と出演者が歌っていく。こちらは集中しているので、あっという間に全出演者が歌い終えてしまい、ゲストもすぐに歌い終えてしまう。私は別にNHK関係者では無いが、放送時間内に収まるかハラハラしてくる。

私の心配をよそに、芸術的なまでに、75分を使い終えて、きっちりと全プログラムが終了する。

会場に、安堵感が漂うとともに、「ええっつ、もう終わり?」というおねだり願望が湧き出るが、宮川アナウンサーが「ゲストがさらに2曲ずつ歌います。」と告げると会場の興奮は最高潮に達した。

小林幸子の「おもいで酒」、森進一の「襟裳岬」「おふくろさん」を聞き終えた頃に観客は全員満足感に酔いしれることになる。

出演者25組は、日本人であったり、奥さんが日本人であったり、日系人であったり、日本に行ったことがあったり、なんらかの日本との接点があるのだが、ただ一人、日本語も話せず、日本人との接点も特に無い英国人女性が宇多田ヒカルを熱唱してチャンピオンとなった。

彼女はおそらく歌詞の日本語部分の意味を理解していなかったかもしれないが、宇多田ヒカルの歌のサウンドが好きで歌ったようで、たまたま日本人の曲だったということなのかもしれない。

興奮したせいか、終演後はえらく疲れてしまった。家に帰って放送を収録したビデオを繰り返し見たが、私はかけらも写っていなかった。
Nodojiman
2004年6月23日(水) ウィンブルドン選手権 第3日目
雨。試合は全て翌日に延期。たまにしか当選しないウィンブルドンのチケットだったのに...

朝から嵐気味の天候で、半分あきらめながらでも、天候の回復を祈って遅めの午後3時ごろにNO1コートに入った。
その後さらに天候が悪くなる。

1時間後、少し回復したようで観客に期待感が募るが、少しするとまた悪くなった。

少なくとも第14コートの第4試合で予定されている杉山 愛選手の試合は今日は無いだろう、とあきらめる。

やけっぱちの観客からウェーブが起きてスタンドを何周か回るが、それもむなしい。

NO1コートは屋根があるので雨には濡れないが、なんといっても寒い。気温が17度だが、体感温度はもっと低い。
吐く息は真冬のように白くなる。

午後5時あきらめて退散。

冷え切った体を引きずりながらようやく自宅に帰ると、今年のプロムス音楽祭の目玉、サイモン・ラトル指揮、ベルリン・フィル演奏会(ベートーベン「第九」)の抽選に外れたとの知らせが届いていた。

こんな日もあるさ。

Wimbledon
2004年5月28日(金) サイトウ・キネン・オーケストラ演奏会
サイトウ・キネンのロンドン公演は何年振りだろうか?前回はエロイカがメインだったような気がする。

サイトウ・キネン・オーケストラ
小澤 征爾指揮

○武満 徹 弦楽のためのレクイエム
○バルトーク  弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽
○チャイコフスキー 交響曲第6番「悲愴」ロ短調 作品74
(ロイヤル・フェスティバル・ホール)

という曲目。ほぼ満席であったが、当日券も残っていたようで完売とまではいかなかったようである。
客席はロンドンにいることを忘れさせるほどの日本人埋まってしまうのも前回と同じで、日本で演奏会に来ているような懐かしい思いもする。

エヴァレット・ファース氏(ティンパニ)、ダグ・イェンセン氏(ファゴット)、カール・ライスター氏(クラリネット)を含め、
いつものメンバーが勢ぞろいした。
小澤氏が団員の登場に混じって壇上に上がる姿もいつもと変わらない。 ただ、これもいつものことながら聴衆からは異常ともいえる数のフラッシュ写真撮影が行われた。ウィーンほど観客のマナーにうるさくないロンドンでも、さすがに眉をひそめる人は多かったのではなかろうか。

3曲のなかではバルトークが最も良かった。管楽器を抜いたオーケストラ構成から奏でられる音楽は素朴でありながらこのオーケストラの持ち味を存分に味わうことができた。
特にティンパニのファース氏のリズムの正確さと的確さ、なによりもその音量の心地の良さに乗り、小澤氏の細部に神経を行き渡らせた、小澤氏ならではのバルトークを感じることができた。

オーケストラ団員の集中力も良く、弦のソロ部分も明らかにオーケストラの団員というよりはソリストといった響きで奏でられ、サイトウキネンの特徴を味わうことができた。

メインのチャイコフスキーではイェンセン氏(ファゴット)、ライスター氏(クラリネット)の腕前が光った。
一昔前はレコード(廉価版)と言えばカラヤン・ベルリンフィル、といえばクラリネットはライスター氏ということで、やたらと氏の音ばかり聞いていたような気がしていたが、さすがに久しぶりに生で聞くと、その老熟した音と歌いまわしにはうならせるものがあった。

「悲愴」全体としては金管の音が変に分離して聞こえたため、鳴りすぎのイメージが強くなってしまった。これは残響の悪いこのホールの特性なのか、楽器の配置なのか、オーケストラの特徴なのかはよくわからなかったが、結果として第3楽章が盛り上がりすぎて、プロオケの演奏会としては珍しく演奏後に拍手が起こってしまった。

第4楽章はサイトウキネンの弦楽器が十分に濃厚な味わいを出していた。頑張り過ぎという感もあったが、最後のコントラバスが残るところまで集中して聞くことができた。

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弦楽器の音色について、一般に日本のオケからはプロ・アマを問わずどこか湿り気のある印象を受けることがあり、それが「重い」と表現されることもあるが、この日のサイトウキネンからは、それとは一味違った独特の「乾いた」音色を感じた。

「乾き」というのを表現するのは難しいが、LPで言えばデッカの、特にウィルキンソン氏がカッティングしたレコードを聴くとエッジのある音の裏にある一種の「乾燥」しているような印象を受けるが、そのようなものに近いのかもしれない。

サイトウキネンのそれは、ウィーンフィルやロンドンフィル、フィルハーモニアといった欧州のオケが持つ「乾いた」音色とも違うのだが、大変に印象に残ったことの一つである。



Royal Festival Hall
2004年4月25日(土) ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団演奏会

EJTの仕事の合間に久しぶりにクラシックコンサートに出かけた。

ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 ヘルベルト・ブロムシュテット指揮 
ジュリアン・ラクリン バイオリン
ベートーベン バイオリン協奏曲
チャイコフスキー 交響曲第4番
(ロイヤル・フェスティバル・ホール)

という演奏、曲目。

実は、ジュリアン・ラクリンについては全く知らなかったが、世界で今注目を浴びている若手バイオリン奏者のようで来日演奏も行っているようだが、演奏については少し期待はずれのものがあった。

ラクリンとブロムシュテットとのテンポ感が合わないのか、ラクリンの歌い方が歴史を誇るライプツィヒのオケにそぐわないのか、ホールの音響の悪さからくるのか理由はよくわからなかったが、全ての音が金色の衣装をまとった様に響く..という領域には達していなかったのは確かだったような気がする。演奏自体はゆっくりめのテンポで進行したため、演奏時間が大変長く感じられた。

今週のヤフーオークションで出品している、メニューインのブラームス協奏曲(ASD264)で、メニューインが大変に奥行きの深い演奏を録音している。彼の音はどちらかと言うと細い印象を受けるのだが、ラクリンもブラームスの協奏曲の方が持ち味がでるのではと感じた。

後半のチャイコフスキーは前半のもやもやを吹き飛ばすような良い演奏であった。

ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団を生で聴くのは初めてだが、これほどまとまって統率がとれ、さらに技術的に高いオケとは思わなかった。そういえば、開演前に「ライプツィヒ観光協会」のような一団が観光宣伝をしていて、私も少し覗いてみたら、「とても小さい街ですが、音楽の香り一杯の街です。ぜひ一度おこしください。」といったことを言われて街の地図とかをもらったりした。結句「バッハとメンデルスゾーンで有名なドイツの小さな田舎町」という印象が私の頭に残った状態で演奏が始まったのだが、それは単なる地方都市のオケというにはあまりにも失礼な、充実した内容でさすがに長い歴史を持つ由緒ある堂々としたオケであった。

ブロムシュテットの堅実なテンポ運びとそれに応えるオケの技量が相まって、大げさすぎない、軽快で奥行きのある演奏となった。特にティンパニー奏者のリズム感の良さがずば抜けており、オケ全体を締めていた。
チャイコフスキーの第4交響曲の生演奏はたいてい力が入りすぎて辟易することが多いのだが、今回は十分に曲の内容を味わうことができた。